私は福祉未経験から法人を設立し、重症心身障害児向け多機能型事業所を開設し、現在4店舗を運営しています。
一昨年、未経験から参入した方の伴走も行いました。その方は現在、2店舗目を準備中です。
未経験でも可能です。
しかし、簡単ではありません。
このページでは、未経験から重症心身障害児向け事業を立ち上げるまでの全体像を、段階ごとに整理します。
勢いで始める前に、必ず全体像を確認してください。
STEP1:参入判断 ― まず「向き不向き」を知る
最初に考えるべきは、「できるか」ではなく「向いているか」です。
重症心身障害児向け事業は、社会的意義が高い一方で、構造理解と現場理解の両方が必要です。
単位が高いから儲かる。
ニーズがあるから安定する。
この理解だけで参入すると、後悔します。
まずは次の記事から読んでください。
- この事業に向いている人・向いていない人
- 重症心身障害児向け放課後デイは本当に成り立つのか
- 始める前に知ってほしい現実
ここで甘い期待が残るなら、参入は早いです。
STEP2:法人設立前に決めること ― 会社を作る前に設計する
法人設立は手続きです。
問題は、何を決めてから会社を作るかです。
未経験者が最も間違えるのは、順番です。
・制度区分を決めずに動く
・定員設計を曖昧にする
・準備期間を軽視する
・資金を甘く見る
今の私でも、物件が決まっている状態から開設まで最低6カ月。
物件がない状態からなら9カ月は必要だと考えています。
未経験者がこれを短縮できる可能性は低い。
まずは以下の記事を読んでください。
- 未経験者が最初に間違える5つ
- 法人設立前に必ず決めるべき3つ
- 指定申請を自分でやった理由
会社を作る前に、構造を決める。
ここを外すと、開設後の修正はほぼ不可能です。
STEP3:収支と構造を理解する ― 感覚ではなく数字で判断する
この分野は「やりがい」だけでは続きません。
重症心身障害児向けの報酬は、定員区分で単位(1単位≒10円)が大きく変わります。
5〜7人:2,131単位
8〜10人:1,347単位
11人以上:850単位
定員を増やせば利益が増える構造ではありません。
さらに、人件費は賞与・法定福利費を含めて最大約60%。
実績では50%台で推移しています。
損益分岐点は3.5人。
黒字化まで約6カ月。
これらはすべて設計の結果です。
まずは以下の記事を読んでください。
- 多機能型の収支を徹底解説
- 損益分岐点3.5人の本質
- 人件費60%は高いのか
- 定員5名が最適な理由
ここを理解せずに参入すると、「思っていたのと違う」となります。
STEP4:開設後の現実 ― 現場を知らない経営は続かない
この事業は福祉であり、同時にサービス業です。
保護者対応があります。
職員との信頼関係があります。
支援の難しさがあります。
現場を知らない経営者は、職員と同じ土俵で話ができません。
「現場は任せる」という姿勢では続きません。
私は現場に入りました。
だから人件費60%の意味を理解しています。
以下の記事も必ず読んでください。
- 人が定着しなかった理由
- 採用後に直面した課題
- 現場が回る管理者の条件
- 現場を知らない経営の危険性
開設後の現実を知らずに始めることが、一番危険です。
STEP5:拡大の考え方 ― 最初の1店舗がすべてを決める
私は現在4店舗を運営しています。
しかし拡大は、偶然ではありません。
最初の1店舗目を、拡張可能な構造で設計したからです。
定員。
単位区分。
損益分岐点。
資金回収速度。
ここを設計せずに拡大はできません。
拡大や撤退については、以下の記事を読んでください。
- 事業を拡大するか、しないか
- 事業をやめる判断
- 撤退後に残ったもの
拡大は勢いではなく、設計の延長です。
まとめ ― 未経験でもできる。ただし設計がすべて
重症心身障害児向け事業は、未経験からでも可能です。
しかし、
・参入判断
・法人設立前の設計
・収支構造の理解
・現場理解
・拡大思想
これらを順番に理解しなければ、続きません。
法人設立はスタートではありません。
設計がスタートです。
もし今、法人設立を考えているなら
・何から決めればいいか分からない
・本当にこの分野でいいのか迷っている
・資金設計に不安がある
・一人で進めることに不安がある
のであれば、焦って会社を作る前に、一度立ち止まることをおすすめします。
未経験から始めたからこそ、どこで迷うかは分かります。
一人で進むこともできます。
ただし、最初の判断がすべてを決めます。
個別相談について
未経験から法人設立を具体的に検討している方に限り、
有料にて個別相談を行っています。
本気で取り組む方とだけ、お話ししています。

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