未経験から重症心身障害児向け事業に参入することは可能です。
私は福祉経験ゼロから法人を設立し、現在4店舗を運営しています。
しかし断言します。
法人設立前に決めるべきことを決めていなければ、開設後の修正はほぼ不可能です。
未経験者ほど、「まず会社を作ろう」と動きます。
しかし、順番が違います。
会社を作る前に、決めるべきことがあります。
① どの制度区分で戦うのか
障害児通所支援と一言で言っても、複数の選択肢があります。
児童発達支援か。
放課後等デイサービスか。
多機能型か。
重症心身障害児向けか。
ここを曖昧にしたまま法人を設立すると、後から方向転換が困難になります。
私は制度構造を見て判断しました。
重症心身障害児向けは、定員区分で報酬単位が大きく変わります。
・5〜7人:2,131単位
・8〜10人:1,347単位
・11人以上:850単位
定員を増やせば収入が増えるわけではありません。
この構造を理解せずに参入すると、
「拡大すれば利益が出る」と誤解します。
未経験者が最初に決めるべきは、
自分はどの制度構造の中で戦うのかです。
これは後から変更できません。
② 定員設計をどうするか
定員は単なる数字ではありません。
定員は、
・単位区分
・損益分岐点
・必要人員
・物件規模
・資金額
すべてに影響します。
当事業所の定員は5名です。
損益分岐点は3.5人です。
この数字は偶然ではありません。
制度と人件費率を前提に逆算しています。
定員を誤れば、
単位区分が変わり、
人件費構造が変わり、
必要資金が変わります。
未経験者は「とりあえず小さく」と考えがちです。
あるいは「どうせやるなら大きく」と考えます。
どちらも危険です。
定員は“感覚”で決めるものではありません。
“構造”で決めるものです。
③ 資金をどこまで準備するか
これが最も重要です。
未経験者が一番軽視するのは、時間軸です。
今の私でも、
物件が決まっている状態から開設まで最低6カ月かかります。
物件がない状態からなら9カ月は必要だと考えています。
未経験者がこれを短縮できる可能性は低いです。
さらに、開設初月から満員になるわけではありません。
当事業所は黒字化まで約6カ月を要しました。
つまり、
・準備期間
・立ち上がり期間
両方を耐える資金が必要です。
そして、コロナのような想定外も起きます。
児童が続けて休めば、稼働は落ちます。
理論上の黒字は、現実では揺らぎます。
資金は「いくら必要か」ではなく、
**「どこまで耐えられるか」**で考えるべきです。
なぜこの3つが最優先なのか
法人設立は手続きです。
後からでもできます。
しかし、
・制度区分
・定員設計
・資金設計
この3つは、開設後ほぼ修正できません。
既存事業者は、構造の中に閉じ込められています。
未経験者は、まだ何も決まっていません。
だからこそ、最初がすべてです。
未経験者の強みと弱み
未経験者の強みは、固定観念がないことです。
弱みは、制度を誤読することです。
「単位が高いから儲かる」
「ニーズがあるから埋まる」
「会社はすぐ作れる」
これらは半分正しく、半分危険です。
制度は、参入は許します。
しかし、設計ミスは許しません。
結論
未経験から重症心身障害児向け事業に参入することは可能です。
しかし法人設立前に、
- どの制度区分で戦うのか
- 定員をどう設計するのか
- どこまで資金を準備するのか
この3つを決めていなければ、
開設後に後戻りできません。
未経験でもできる。
ただし、最初の設計がすべてを決めます。
会社を作る前に、構造を決める。
それが、失敗しないための出発点です。

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