未経験から重症心身障害児向け事業に参入することは可能です。
私は福祉経験ゼロから法人を設立し、現在4店舗を運営しています。
しかし、正直に言います。
最初にいくつも間違えかけました。
そして今振り返ると、どれも致命傷になり得る判断でした。
今回は、未経験者が最初に間違えやすいポイントを実体験ベースでお伝えします。
① フランチャイズに安易に加入しそうになる
未経験で一番怖いのは「分からないこと」です。
その不安を埋めてくれるように見えるのがフランチャイズです。
ノウハウがある。
ブランドがある。
安心できる。
私も一度、加入を検討しました。
しかし、よく考えなければならないのは、
何を得るかではなく、何を縛られるかです。
重症心身障害児分野は、制度・地域特性・物件条件で戦う領域です。
本部モデルが自分の地域に最適とは限りません。
未経験だからこそ「借りたくなる」。
しかし借りた瞬間に、自由な設計ができなくなります。
ここは最初の大きな分岐点です。
② 物件を勢いで契約しそうになる
物件が見つかると安心します。
「これで一歩進んだ」と感じます。
しかし、重症心身障害児向け事業において物件は“箱”ではありません。
動線、広さ、段差、送迎導線、近隣環境、家賃水準。
すべてが人員配置と収支に直結します。
私は一度、十分に検証せず契約しそうになりました。
もしあのまま進んでいたら、
後から変えられない固定費構造になっていた可能性があります。
物件はやり直せません。
未経験者ほど焦って決めてしまいます。
③ 準備期間を甘く見る
ここが最も危険です。
法人設立は数週間でできます。
しかし事業所開設は別次元です。
指定申請、行政折衝、人材確保、加算設計、備品準備、資金調整。
今の私が、物件が決まっている状態で新たな事業所を作ろうとしても、最低6カ月かかります。
物件がない状態からであれば、9カ月は必要だと思います。
これは未経験だからではありません。
経験者である今でも、そのくらいかかるという現実です。
準備期間を軽視すると、
資金計画が破綻します。
「すぐ開ける」と思うことが、最大の誤算になります。
④ 資金調達を甘く見る
未経験者が最も軽視しがちなのは資金です。
単位が高いからいける。
ニーズがあるから埋まる。
この思考は危険です。
当事業所は黒字化まで約6カ月を要しました。
開設初月から満員になるわけではありません。
さらに、コロナ禍では児童が続けて休み、稼働が落ちました。
理論上の黒字と、実際の資金繰りは別物です。
余裕資金がなければ、精神的にも追い込まれます。
冷静な判断ができなくなります。
資金は「足りるかどうか」ではなく、
「想定外が起きても耐えられるか」で考えるべきです。
⑤ 「なんとかなる」と思ってしまう
最後の落とし穴は、前向きすぎることです。
社会的意義がある。
必要とされている。
自分ならできる。
その思いは大切です。
しかし制度は感情では動きません。
定員区分で単位は下がる。
人件費は構造的に高い。
損益分岐点を下回れば赤字になる。
これは事実です。
私は未経験でしたが、「なんとかなる」ではなく「設計する」を選びました。
なぜ未経験者に可能性があるのか
ここまで読むと怖くなるかもしれません。
しかし、未経験者には強みがあります。
まだ何も決まっていないことです。
既存事業者は構造を変えにくい。
未経験者は最初から設計できます。
一昨年伴走した方は、法人設立から設計し、現在2店舗目を準備中です。
未経験でも可能です。
ただし、最初の判断を誤らなければ。
結論
重症心身障害児向け事業は、未経験からでも参入できます。
しかし、
・安易なフランチャイズ加入
・勢いでの物件契約
・準備期間の軽視(6カ月〜9カ月が現実)
・資金設計の甘さ
・「なんとかなる」という思考
これらは致命傷になります。
法人設立はスタートではありません。
設計がスタートです。
未経験でもできる。
ただし、設計しなければ危険。
それが、この分野の現実です。

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