【重症心身障害児】多機能型の人件費60%は高いのか?収支構造から見る本当の数字

重症心身障害児を対象とした多機能型(児童発達支援+放課後等デイサービス)の収支において、人件費は最大で売上の約60%です。

ただし、この60%には賞与および法定福利費を含んでいます。基本給のみではありません。さらに実績としては、当社では50%台で推移しています。

この前提を踏まえたうえで、60%という数字の意味を整理します。


60%という数字の中身

人件費と一口に言っても、その中身は幅広いものです。

・基本給
・各種手当
・賞与
・社会保険料等の法定福利費

これらすべてを含めた総人件費で、最大約60%という水準です。賞与や法定福利費を除外すれば、比率はさらに下がります。

つまり、「60%=給与だけで膨らんでいる」という話ではありません。むしろ、法令遵守と人材投資を前提にした現実的な数字です。


実際は50%台という事実

さらに重要なのは、実績ベースでは50%台で推移しているという点です。

これは単にコストを削減しているという意味ではありません。ほぼ満員の稼働を維持し、加算を適切に取得し、売上を最大化している結果です。

分母である売上を設計することで、比率は適正水準に収まります。比率だけを見て「高い」「低い」と評価するのは、本質ではありません。


重症心身障害児分野の構造

この分野では、支援密度が高く、基準以上の配置を実務上求められます。医療的ケアや重度障害への対応には、経験と人数が必要です。

したがって、人件費比率が一定水準に到達するのは自然な構造です。問題は60%かどうかではなく、その比率を支えられる収支設計になっているかです。


損益分岐点3.5人との関係

定員5名モデルの損益分岐点は3.5人です。70%稼働で±0となる設計です。

平均4名以上を維持できれば、50%台の人件費率で安定黒字になります。逆に稼働が3名まで落ち込めば、比率は一気に上昇します。

つまり、人件費率の問題ではなく、稼働構造の問題です。


単独型との比較で見える差

放課後等デイサービス単独型は、6歳から18歳までの12年間が対象です。多機能型は0歳から18歳までの18年間が対象です。理論上、母数は1.5倍です。

さらに当事業所では、利用開始後18歳まで在籍しているケースが継続しています。継続利用が基盤となるため、毎年ゼロから埋め直す経営ではありません。

この構造があるからこそ、人件費50%台を維持できます。


黒字化まで6カ月という時間軸

開設初期は人件費が先行します。売上は段階的に積み上がります。

本モデルでは黒字化まで約6カ月を要しました。この期間を想定した資金設計がなければ、人件費60%という数字は重く見えます。

しかし、対象母数が広く、継続構造がある多機能型では、立ち上がり後の安定度が大きく異なります。


結論

重症心身障害児向け多機能型における人件費最大60%は、賞与と法定福利費を含んだ総額です。実績では50%台で推移しています。

比率そのものが問題なのではありません。重要なのは、その比率を支えられる売上設計と稼働構造を持っているかどうかです。

多機能型は、制度構造と継続構造を前提に設計された経営モデルです。人件費を削る発想ではなく、人件費を前提に利益を出す設計こそが、本質です。

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