放課後等デイサービス(特に重症心身障害児の事業所)を運営していくと、必ず「管理者」の壁に当たります。
管理者を置けば現場が回る、という話ではありません。
管理者が機能するかどうかは、結局のところ「権限」をどう設計するかで決まります。
この記事では、放課後等デイサービスの現場で起きがちな「管理者の権限不足」について、現場運営の視点で整理します。
管理者の権限不足が起きると、現場の信頼を失う
権限不足の管理者がいる現場では、職員の意識が変わります。
「この管理者に言っても何も変わらない」と考えるようになるのです。
この状態になると、現場の統率が取りづらくなり、支援の質にも影響が出始めます。
管理者を飛ばして経営者に直接来るようになる
権限不足が続くと、現場の情報の流れも変わります。
本来なら管理者に集約されるべき要望が、管理者を通らず経営者に直接来るようになります。
たとえば「こういうものが不足している」「こういうものが必要なので買ってほしい」といった話が、いきなり経営者に届くようになります。
経営者の仕事が一気に増える
この状態は、経営者の業務を確実に圧迫します。
現場の細かい判断や要望がすべて経営者に集まり、業務が雪だるま式に増えていきます。
結果として、経営者が本来やるべき「会社を守り、発展させる業務」に時間を使えなくなります。
権限不足は「管理者の問題」ではなく会社の設計ミス
ここで重要なのは、権限不足を管理者個人の問題として扱わないことです。
権限不足は、会社側が「管理者に何を任せるか」を設計できていない構造の問題です。
つまり、管理者の権限不足は、会社の設計ミスとして捉えるべきだと考えています。
権限移譲は「責任移譲」である
権限を渡すというのは、仕事を押し付けることではありません。
管理者が無理なく責任を取れる範囲において、責任を移譲することです。
ここを間違えると管理者は板挟みになり、現場は不安定になります。
渡すべき権限は「現場が止まるもの」
管理者に渡すべき権限の代表例があります。
それは、止めると現場の判断が止まり、支援が止まってしまうものです。
細かい判断をいちいち経営者に確認していたら、現場は回りません。
小口現金の権限は管理者に渡すべきである
たとえば小口現金の権限は、管理者に渡すべきです。
必要な備品をその場で買えるかどうかは、現場の安定性に直結します。
経営者が毎回判断していたら、現場は遅れ、経営者の仕事も増えます。
出退勤の判断も管理者に渡すべきである
有給休暇、病欠、早退などの出退勤に関する判断も同様です。
現場では日々、急な欠勤が起こります。
そのたびに経営者が判断していたら、現場は迷い、対応が遅れます。
人事権は渡してはいけない
一方で、渡してはいけない権限もあります。
代表例は人事権です。
人事権を管理者に渡すと、組織の方向性がぶれやすくなります。
ただし、採用時の面接は任せるべきである
ただし、人事権を渡さない=採用に関与させない、ではありません。
採用時の面接は管理者に任せるべきです。
現場を回すのは管理者であり、現場の相性を最も判断できるのも管理者だからです。
権限移譲は「話し合い」がないと失敗する
権限移譲は、ルールを一方的に決めれば終わりではありません。
「どこまで任せるか」「どこからは経営判断か」を、経営者と管理者の間でよく話す必要があります。
この対話がないと、権限は形だけになり、結局現場は回らなくなります。
報告と通報を分けると、現場が回り始める
権限設計がうまくいくと、現場の情報の流れが変わります。
管理者からの「報告」と「通報」がテンポよくやり取りされるようになります。
ここでいう報告とは、権限を与えていないものについての報告です。
一方で通報とは、権限を与えたものについての通報です。
権限があると判断が早くなり、現場が安定する
管理者に権限があると判断が早くなります。
判断が早くなると現場が安定します。
現場が安定すると事故が減り、離職も減ります。
結論:管理者の権限不足は会社を壊す
放課後等デイサービスの現場で、管理者の権限不足は確実に問題になります。
そしてそれは、管理者個人の問題ではなく会社の設計ミスです。
権限不足は、管理者ではなく会社を壊します。
だからこそ権限移譲は、経営者の仕事として設計すべきだと考えています。

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