私は現在、重症心身障害児向けの児童発達支援・放課後等デイサービスを実際に運営しています。
開業前、正直に言えば「数字的には成り立つ事業だ」と考えていました。
ですが、いざ始めてみると、想像していたよりもはるかに厳しい現実がありました。
重症心身障害児向け放課後デイは、本当に事業として成り立つのか。
この記事では、現場を運営している立場から、きれいごとではない現実を書いていきます。
起業を考えている方が、判断を誤らないための材料になればと思います。
重症心身障害児向け放課後デイは本当に成り立つのか
制度上は報酬単価も高く、収支シミュレーションだけを見れば魅力的に見える部分もあります。
そのため、成功事例として紹介されることも少なくありません。
ただ、開業前にイメージしていた姿と、実際の運営には大きな差がありました。
その差を理解しないまま始めると、想像以上に厳しさを感じる事業だと思います。
開業前に考えていた「甘かった点」
開業前、重症心身障害児向け放課後デイは「数字的には成り立つ事業」だと考えていました。
人件費や報酬単価を当てはめれば、計算上は黒字になるように見えたからです。
ですが、実際に運営を始めてみると、その計算は現場の感覚とは大きくズレていました。
一番甘かったのは、人員配置の現実です。
重症心身障害児向けの場合、人員基準通りの職員数では、まず現場は回りません。
体調変化への対応、医療的ケア、突発的な欠勤。
これらが重なると、想定していたシフトは簡単に崩れます。
次に甘かったのは、日々の業務負荷です。
書類、記録、保護者対応、行政対応。
これらに加えて、制度が変わるたびに新たな業務や研修、会議が義務化されます。
一方で、削られる業務は一つもありません。
行政はバックヤード事務を増やす一方で、その負担はすべて現場と運営側に積み重なっていきます。
実際に運営してわかった一番きついポイント
実際に運営してみて、一番きついと感じているのは、常に余裕のない状態が続くことです。
重症心身障害児向け放課後デイでは、日々の支援そのものが緊張感を伴います。
体調変化、医療的ケア、安全管理。
どれも「今日は問題なかった」で済ませられるものではありません。
そこに加えて、人の問題は必ず起きます。
急な欠勤、体調不良、家庭の事情。
誰か一人欠けるだけで、現場は一気に不安定になります。
さらに、現場が回っていないときでも、事務作業や行政対応は止まりません。
記録、請求、監査対応、加算の確認。
どれも後回しにできず、現場対応の合間や業務時間外に対応することになります。
それでも事業として続けている理由
ここまで読むと、それでも、なぜ続けているのかと思われるかもしれません。
重症心身障害児向け放課後デイは、正直に言って楽な事業ではありません。
それでも、私はこの事業を続けています。
理由の一つは、必要とされている現実が、はっきりと見えることです。
利用を希望されるご家庭は多く、選択肢が十分とは言えない地域もあります。
そしてもう一つは、決して簡単ではありませんが、重症心身障害児向け放課後デイは、きちんと運営すれば十分にリターンのある事業だと考えているからです。
労力が大きい分、現実を理解し、体制を整えた上で運営すれば、事業として評価できるリターンはあります。
実際に当事業所では、職員の平均給与も、給与所得者の平均年収を上回る水準となっています。
現場に負担を押し付ける形では、この事業は成り立たないと考えているからです。
これから起業を考えている人に伝えたいこと
重症心身障害児向け放課後デイは、「やりがいがあるから」「社会的に必要だから」という理由だけで始める事業ではありません。
現場の負荷、人の問題、制度の複雑さ。
これらを理解した上で、それでも向き合う覚悟があるかどうかが問われます。
一方で、現実から目をそらさず、事業としてきちんと設計できる人にとっては、重症心身障害児向け放課後デイは十分に取り組む価値のある事業だと思っています。
この記事が、起業を考えている方にとって、勢いではなく、冷静に判断するための材料になれば幸いです。

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