重症心身障害児向けの多機能型(児童発達支援+放課後等デイサービス)は、社会的意義が高い一方で、経営難に陥る事業所も少なくありません。
報酬単位は高い。ニーズもある。
それにもかかわらず、黒字化できない。
なぜでしょうか。
結論は単純です。
「構造」を設計していないからです。
共通点① 単位だけを見て参入する
5〜7人区分は2,131単位。
この数字だけを見ると、魅力的に映ります。
しかし、単位は収入ではありません。
稼働率、加算取得、人件費、固定費が組み合わさって初めて利益になります。
単位を見て参入し、構造を設計せずに始めると、
人件費だけが先行します。
共通点② 稼働の“時間軸”を考えていない
損益分岐点が仮に3.5人だったとしても、
開設初月から到達するわけではありません。
契約は段階的に積み上がります。
黒字化までの時間を想定していないと、資金は想像以上に早く減ります。
黒字化できない事業所の多くは、
月次ではなく“累積”で赤字を見ています。
共通点③ 定員区分を軽視する
重症心身障害児分野は、定員区分で単位が大きく下がります。
8名以上になると単位は下がり、
11名以上ではさらに下がります。
それでも「規模を大きくすれば利益は増える」と考えると、
単位低下と人件費増加の二重負担になります。
拡大は戦略であって、衝動ではありません。
共通点④ 継続構造を作っていない
多機能型は0歳から18歳までが対象です。
制度上は18年間の母数があります。
しかし、継続利用が実際に起きる設計をしていなければ、
毎年新規営業を続ける経営になります。
黒字化できない事業所は、
常に“埋め直す経営”をしています。
本質は“努力不足”ではない
誤解されがちですが、
黒字化できない理由は努力不足ではありません。
多くは真面目に支援しています。
問題は、経営構造を組んでいないことです。
支援の質と、収支設計は別物です。
なぜ構造が重要なのか
重症心身障害児分野は、
・人件費比率が高い
・定員区分で単位が変わる
・支援密度を落とせない
という特徴があります。
この三点を前提に設計しなければ、
利益は偶然にしか生まれません。
結論
黒字化できない事業所の共通点は、
単位や理念を見て参入し、構造を設計していないことです。
重症心身障害児向け多機能型は、
「やりがい」だけで成立する事業ではありません。
設計思想がなければ、
収支は安定しません。
構造を理解せずに始めるか、
構造を設計して始めるか。
その差が、黒字化できるかどうかを分けます。

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