起業を考え始めたときの違和感
会社を辞めて独立したいと思うとき、多くの場合きっかけは前向きな感情です。
この分野で挑戦したい。
自分の判断で物事を決めたい。
もっと意味のある仕事をしたい。
私も同じでした。
ただ、実際に起業してみて感じたのは、「やりたい」という気持ちと「できる」という現実の間には、思っていたよりも距離があるということでした。
会社員時代には見なかった夢
起業してから、何度も同じ夢を見るようになりました。
お金が尽きて、どうにもならなくなる夢です。
会社員のときには一度も見たことがありませんでした。毎月給与が振り込まれる前提の世界では、資金がゼロになる感覚を現実として考える必要がなかったからです。
起業すると、それが変わります。
売上が予定通りに立たなかったらどうなるか。
人件費を払い続けられるか。
借入は返せるか。
夢を見るほど不安だったというより、責任の重さを身体で理解し始めた、という感覚に近いかもしれません。
「できるか」は能力の話ではない
起業を考えるとき、「自分にできるだろうか」と不安になります。
でも、実際に問われるのはスキルや経験よりも、もっと現実的な部分です。
・生活費はどれくらい必要か
・収入が安定するまでどれだけ耐えられるか
・家族はその変化を受け入れられるか
・万が一失敗したとき、どこまで責任を負えるか
できるかどうかは能力の問題ではなく、設計の問題です。
「やりたい」を守るために必要なもの
やりたい気持ちは否定するものではありません。
むしろ、その気持ちがなければ起業は続きません。
ただし順番があります。
やりたい
↓
すぐに始める
ではなく、
やりたい
↓
続けられる設計を考える
↓
それでもやると決める
この順番です。
生活設計、資金計画、撤退ラインまで含めて整理した上での決断なら、起業は無謀ではありません。
起業は勇気よりも設計
起業は勇気の問題だと言われます。
けれど実際は、勇気よりも設計です。
やりたいという感情を、どこまで具体的な数字と構造に落とせるか。
そこまで考えられて初めて、「できる」という言葉が現実になります。
やりたいかどうかではなく、続けられるかどうか。
この問いから目をそらさなければ、起業という選択は、感情ではなく判断になります。

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